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棚卸を効率化!早く終わらせるための実践的な方法とポイント
(最終更新日:2025.02.10)

棚卸とは、店舗や倉庫内にある在庫の数・状態を確認する作業です。商品在庫のある企業は、原価や利益の確定、実際の在庫数と帳簿上の在庫数の差異の修正、在庫の数量や品質の確認などを目的に、棚卸を年に1回、半期に1回など定期的に行います。
棚卸の結果は決算書類に記載する必要があり、正確に進める必要があるものの、作業に時間がかかりすぎるという点がさまざまな業界で課題となっています。また、働き方改革をはじめとした世間の潮流からも、棚卸業務の効率化が重要視されつつあります。
この記事では、棚卸が早く終わらない原因や、早く終わらせるための方法・ツールについて解説いたします。棚卸に時間がかかる原因を知り、解決のための具体的なノウハウを把握することで、今後の棚卸をより効率的に進めることができるでしょう。棚卸の業務負担にお悩みの方は、ぜひお役立てください。
ナテックではお客様の課題にあわせてRFIDを活用した在庫管理ソリューションを提供しています。「在庫管理のミスをなくしたい」「もっと効率よく作業を進めたい」など、お気軽にご相談ください。
棚卸が早く終わらない原因とは?
棚卸が早く終わらない場合、原因は在庫数の多さや工程の煩雑さなどが考えられるでしょう。しかし、棚卸に時間がかかる原因はそれだけではありません。以下に、代表的な原因を解説します。
在庫データの不一致
台帳上の在庫数と実際の在庫数にずれがあると、棚卸に時間がかかってしまいます。在庫数が合わない場合、数に差異が発生した原因を突き止め、伝票や台帳の修正を行わなければなりません。これを防ぐためには、帳簿上で在庫をカウントする「帳簿棚卸」を日常的に行う必要があります。
作業手順が不明確
「作業手順がマニュアル化されていない」「担当者によって作業手順が変わる」など、棚卸の手順が明確になっていないと、作業のばらつきなどが発生しその分棚卸に時間がかかります。あらかじめどのエリアからどう進めるかなどの作業手順を明確にしておき、効率的に作業を進めることが大切です。
人員の熟練度不足
棚卸作業をする人員の熟練度不足も、作業に時間がかかる要因の一つです。棚卸の経験が少ないと、商品の見間違いやカウント漏れ、記録漏れなどが発生しやすくなります。また、「間違えないように」と慎重になりすぎることでより時間がかかってしまう場合もあります。そのため、経験が豊富な担当者の場合はスムーズに作業が進み、作業に慣れていない担当者だと時間がかかるなど、作業時間が個人のスキルに左右されることもよくあります。
選択する棚卸方式のミス(循環棚卸 vs 一斉棚卸)
棚卸に時間がかかりすぎる場合、棚卸の方式が自社の状況に合っていない可能性があります。棚卸の方式は大きく分けて「循環棚卸」「一斉棚卸」の2種類があります。
【循環棚卸】
「棚ごと」「商品ごと」など、作業日を複数に分け、少しずつ棚卸を行う方法です。通常業務を停止することなく、少人数・短時間で棚卸を行えます。「効率的に棚卸をしたい」「多品種の在庫が少量ずつある」という場合に適した棚卸の方法です。
【一斉棚卸】
作業日を定め、一気に棚卸を行う方法です。通常業務を停止し大人数で棚卸を行いますが、計画が立てやすく棚卸の精度も高くなります。ただし、通常業務を停止できない業種の場合は、業務終了後や休日に実施することになるかもしれません。「在庫管理の精度を高く保ちたい」「棚卸の差異をあまり出したくない」という場合におすすめです。
それぞれの特徴と運用方法を鑑み、自社に適した方式を選ぶことが大切です。
在庫管理ツールの活用ができていない
在庫管理ツールなどを活用せず、手作業や紙ベースで棚卸をしていることも時間がかかる要因として挙げられます。ツールを活用しない棚卸の方法としては、主に「リスト方式」「タグ方式」があります。
リスト方式:事前に在庫リストを準備し、担当者が商品を数えてリストに記入。最後に各リストを集計する。
タグ方式:各商品棚の前にタグを設置し、担当者が商品を数えてタグに記入。最後に各タグを集計する。
これらの手作業や紙ベースでの棚卸は、カウント間違いや記入漏れといった人的ミスが起こりやすく時間がかかりやすいというデメリットがあります。
棚卸の効率化を促進させるツールについては記事の後半でご紹介しています。棚卸の効率化を検討されている方はぜひご覧ください。
棚卸を早く終わらせるための方法:準備
棚卸を早く終わらせるためには、具体的にどのような進め方をすればよいのでしょうか。以下で、棚卸の前にしておきたい準備についてご紹介します。
倉庫を整理しておく
商品倉庫は日ごろから整理整頓しておき、棚卸の際スムーズに作業できるようにしておきましょう。商品が見やすく並んでいるだけで、作業効率が上がりカウント漏れも少なくなります。物品整理の際は、以下のポイントを心がけましょう。
- 同じ商品は同じ棚にまとめ、同カテゴリの商品は近くのエリアにまとめる
- 商品の配置を決めたら、その定位置をしっかりと守る
- 商品は5個ずつ・10個ずつなど、カウントしやすい個数でまとめる
- 倉庫内の商品配置は、棚卸の流れに合わせた配置にしておく
- 棚卸をしやすいよう、商品棚のスペースに余裕を持たせ、床には物を置かない
棚卸計画表を作成する
棚卸作業をスムーズに進めるために、棚卸の計画表を作成しましょう。作業の流れやスケジュールが分かれば、作業員も時間を意識して作業を進めやすくなります。計画表には、以下のような項目を組み込んでおくとよいでしょう。
計画表に組み込む項目 | 詳細 |
---|---|
作業範囲 | 今回の棚卸ではどこまでの作業を行うのか、作業範囲を明記しておきましょう。 |
人員配置表 | どの商品を誰が担当するのか、分担を記載しましょう。 分担を2人1組にしておくと、ミスや不正を防ぎやすくなります。 |
倉庫見取り図 | 倉庫のどの部分を誰が担当するのか、図で記載しましょう。 特に倉庫が広い場合は、詳しい記載が必要です。 |
スケジュール | 棚卸全体のスケジュール(実施期間・各日の作業範囲)と、各作業日の1日のスケジュールを、それぞれ決めておくとよいでしょう。 トラブルに備え、バッファを持たせておくと安心です。 |
在庫管理表 | 棚卸の際に使用する在庫リストやメモスペースも、計画表に組み込んでおきましょう。 |
マニュアルや見取り図などを作成しておく
誰がどの作業を担当しても、同じ手順で棚卸を行えるよう、マニュアルを作成しておきましょう。作業品質が保たれ、担当者の変更や欠勤があっても「棚卸ができなくなる」という事態を防げます。
マニュアル作成の際は、以下のポイントが重要です。
- 誰でも再現できるような、わかりやすく簡単なフローにする
- 2人1組で棚卸を行う場合、それぞれの手順を別に記載する
- 特に間違いや見落としが発生しやすい箇所は、注意喚起しておく
マニュアルを整備したうえで説明会などを実施し、事前に作業員の疑問点を解消しておくことも重要です。
また、マニュアルを活用するには、どの商品がどこにあるかをしっかり把握しておく必要があります。当日の作業をスムーズに進めるためにも、倉庫内の見取り図も同時に用意しておきましょう。担当の割り振りや動線の確認もしやすくなります。
棚卸を早く終わらせるための方法:進め方
棚卸を早く終わらせるためには、当日どのような進め方をすればよいのでしょうか。以下で、棚卸当日の進め方についてご紹介します。
作業を複数チームに分けて進行
棚卸の作業は、エリアごと・商品カテゴリごとに作業範囲を区切り、複数チームがそれぞれの範囲を担当するとよいでしょう。また、各チームは2人1組のペアにして、「現場での数量確認担当」と「PCでの数量記録担当」で作業を分担しましょう。作業範囲を区切り、さらに作業内容も分担することで作業に集中しやすくなり、ミスが発生しにくくなります。また、2人1組で担当を分け、それぞれがお互いの作業を確認し合う体制にすることで、作業の精度を高められます。
実地棚卸と帳簿棚卸を組み合わせて行う
棚卸のミスを減らしスムーズに進行させるためには、「実地棚卸」「帳簿棚卸」の両方をしっかり行うことが重要です。
【実地棚卸】
倉庫や店舗にある在庫を数えつつ、商品の品質や状態も確認する作業です。数量や商品の品質を確認したら棚卸表に結果を記載し、在庫管理に活かします。年に1回~半期に1回など、定期的に行う作業です。帳簿上では把握しきれない「商品の品質(破損や故障など)」も確認するため、実際に商品として使える在庫数を正しく把握できます。
【帳簿棚卸】
帳簿やソフトウェアを活用し、毎日データ上で在庫数の増減を管理する作業です。あらかじめ商品の在庫状況を管理しておくことで、実地棚卸の負担を軽減します。
決算書を正しく作成するためには、「実地棚卸」「帳簿棚卸」の両方が必要です。実地棚卸による「実際の在庫数」と、帳簿棚卸による「帳簿上の在庫数」の両方を確認することで、決算書の正しさを担保する必要があります。また、実地棚卸だけでなく日々帳簿棚卸をしておくことで、棚卸全体の作業量が見えるため、実地棚卸当日の負担やミスが減る効果もあります。
定期的に進捗共有を行う
在庫数が大きい企業であればあるほど、定期的な進捗共有が重要です。特に、数日かけて実地棚卸を行うような大きな倉庫の場合、棚卸の期間中にこまめな進捗共有をしておくことで、在庫数のずれを防げます。万が一、数え間違いや漏れがあってもそこからやり直せるように、進捗は定期的に責任者へ共有しましょう。
物品の状態もあわせて確認しておく
棚卸の際は、物品の数だけでなく商品の質や状態についても確認しておきましょう。破損や欠陥、賞味期限切れの商品を見つけた際、数量にカウントせず破棄してしまうと、実地棚卸と帳簿棚卸の数が合わなくなってしまいます。実際の在庫数と帳簿上の在庫数にずれが生じないよう、破損や欠陥、故障などの商品状態も記録しておきましょう。
棚卸を早く終わらせるための方法:ツール
棚卸には、目視による確認以外にもさまざまな方法があります。以下に代表的な方法を3つご紹介します。
バーコード・QRコード
バーコード・QRコード方式とは、商品や棚に貼られたバーコード・QRコードを利用する方式です。これをハンディターミナルやスマートフォンで読み取り、品目や数量を入力することで記帳します。
【メリット】
リアルタイムで正確な記帳ができ、商品の場所も分かりやすくなるため入出荷作業も楽になります。また、バーコード・QRコードを活用した出荷確認も可能であるため、出荷精度が向上します。
【デメリット】
商品にもともとJANコードやEANコードなどがついていない場合、バーコード・QRコードを発行して貼り付ける作業が発生します。また、ハンディターミナルやシステムの費用、導入テストも必要です。
音声認識入力
音声認識入力方式とは、音声入力ツールを活用して棚卸をする方法です。スマートフォンでの音声入力を活用し、商品名を読み上げることでシステム上に入力・記帳します。
【メリット】
バーコードやQRコードの貼り付けが不要で、比較的安価かつ手軽に導入できます。音声入力による在庫検索は、目の前に商品がない場合でも行えるので、営業先からスマートフォンで在庫を確認する場合などに便利です。
【デメリット】
毎回読み上げを行うため、バーコード・QRコード方式より棚卸に時間がかかります。また、音声認識がうまくいかないこともあるため、事前に認識されやすいワードや発音をチェックしておくとよいでしょう。
RFID方式
RFID方式とは、商品に貼ったICタグを電波で読み取り、情報を記帳する方法です。専用のリーダーでICタグを読み取りますが、電波の及ぶ範囲であれば一度に複数のICタグを読み込めます。
【メリット】
リーダーとICタグを接触させなくても読み取りできるため、一度に複数商品の読み込みができ、スピーディーな作業が可能です。また、ICタグはデータ変更も可能で、バーコードよりもたくさんの情報を書き込めます。複製が困難な分、セキュリティ性も高いです。
【デメリット】
バーコード・QRコード方式よりも、導入費用がかかります。また、電波の届きにくい環境においては、読み取りがしづらいことがあります。
このように、棚卸に活用できるツールはさまざまです。正確性やスピードを考慮すると、この中では特にRFID方式がおすすめです。
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まとめ
時間のかかりがちな棚卸作業を早く終わらせるには、事前準備や当日の作業を計画的に行うことはもちろん、棚卸を効率的に行えるツールの選定も重要です。決算書の作成に必要なデータをより短時間で作成するためにも、事前に少しずつ準備を進め、自社に合った進め方やツールを選びましょう。
特に、ツールを活用する場合は、RFID方式がおすすめです。広範囲の読み取りや、ICタグの書き換えが可能なため、膨大な在庫の棚卸を効率的に進めることができるでしょう。ぜひ本記事を参考にしながら、棚卸を効率的に行える方法を模索してみてください。