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Excel(エクセル)で棚卸は効率化できる?メリットや運用方法を解説
(最終更新日:2025.05.30)

棚卸は、店舗や倉庫内にある在庫の数・状態を確認する作業で、帳簿上の在庫数と実際の在庫数との差異を確認・修正することを目的とします。財務諸表作成や今後の生産計画に関わる重要な業務である一方で、多くの時間と人手を要するため、棚卸の作業負担を減らすことがさまざまな業界で課題となっています。
そんな棚卸を効率化できる身近なツールに「Excel(エクセル)」があります。本記事では、Excelで棚卸をするメリットや運用方法、リスク・注意点などを解説します。
ナテックでは、Excelにインストールするだけで棚卸の自動化をサポートする「タグエクセル」や、カスタマイズが可能でより複雑な物品管理を行える「タグストリーム」を提供しています。
「棚卸の手間を減らしたい」「もっと正確に在庫管理をしたい」 そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
Excel(エクセル)で棚卸をするメリット
棚卸の効率化を目指す企業にとって、手軽に使えるツールとしておすすめなのがExcelです。ここでは、Excelで棚卸を行うメリットを紹介します。
使い慣れたツールなので手軽に始めやすい
ExcelはMicrosoftが開発した表計算ソフトで、表作成や自動計算機能を備えており、棚卸に利用できます。ビジネスパーソンにとってなじみが深いソフトなので、基本操作に特別な教育や研修が不要な場合も多いでしょう。
また、SUM(合計値)・COUNT(個数カウント)・SUMIF(条件指定合計値)などの関数を使えば在庫数の集計や合計金額の算出も簡単に行えます。Excelは導入のハードルが低いため、手軽に棚卸業務に活用できる点が魅力です。
紙よりも管理しやすい
棚卸は正確な記録ができていれば、アナログでもデジタルでも構いませんが、アナログでは記入や集計に時間がかかるうえ、記録ミスや紛失のリスクがあります。また、記録紙の保管や劣化、資源コストなどの課題も避けられません。
Excelで作成した棚卸表は、デジタルデータとして保存・複製・共有でき、データは紛失の心配がなく、紙代や保管スペースも不要です。また、自動計算機能を用いることで、効率的かつ正確に在庫管理ができます。検索機能を使うことで、過去の履歴や条件を絞ったデータの参照なども簡単に行うことができます。
専用ツールが不要で導入コストが抑えられる
多くの日本企業ではMicrosoft Officeが標準搭載されており、日常業務でExcelが活用されています。そのため、追加でシステムを購入する必要がありません。仮に購入する場合でも、Excelは買い切り型で追加費用が不要なため、初期費用や運用コストを抑えられます。
ただし、Excelは管理できるデータの容量に限りがあり、データが大きくなると重くなってしまいます。小規模から中規模の在庫管理に適していると言えるでしょう。
カスタマイズで最適化ができる
Excelは、自社の棚卸業務に合わせてシートをカスタマイズできます。関数や条件付き書式、マクロを活用すれば、効率的で視覚的にも分かりやすい棚卸管理表の作成が可能です。
また、市販・配布されているテンプレートを活用し、必要項目を追加・変更し使いやすいようにカスタマイズする方法もあります。
Excel(エクセル)棚卸の運用方法
実際にExcelを棚卸に活用するには、どのような棚卸表を作り、運用すれば良いのでしょうか。ここでは、棚卸表の基本構成や必要項目、記入時のポイントなどを紹介します。また、関数やマクロなどのExcel機能を活用した運用方法もあわせて解説します。
棚卸の基本項目を決める
まず、棚卸対象となる在庫を、商品、原材料、仕掛品、製品、消耗品などの種類ごとに整理し、それぞれについて棚卸表に下記の基本項目を記載していきます。
・品番または商品コード
・品名(商品名)
・在庫数量
・単価(仕入価格)
・金額(数量×単価)
・備考(破損・棚ざらし品・くずなどの特記事項)
これらの基本項目をExcelの列見出しとして設定し、自社の業務に合わせて必要な項目を追加していきましょう。帳簿と実在庫の差異が把握しやすいように、台帳上の数量と実棚卸数を比較する欄を設けることもおすすめです。
運用ルールを決める
棚卸表をExcelで管理するには、記録の正確性とデータ保全を両立させるルールづくりが大切です。特に複数人で在庫管理する場合はルールの設定と周知は必須です。以下のルールをあらかじめ設定すると、誤入力などのミスを防げます。
・セルを色分けして入力ミスを防止
重要項目をセルの背景色で分類したり、異常値や未入力を自動で色表示したりすることで、視認性が向上し、入力ミスを防げます。
・記録者欄を設定
誰がいつ入力・修正したかを把握するのに便利です。
・必要な情報はフィルター機能で抽出
フィルター機能を使ってデータを絞り込むと、差異項目やデータの新旧が確認でき、ミスの抑制に役立ちます。
・バックアップのスケジュールと保存先を決定
「編集後に日付付きで別名保存」「毎週金曜日にバックアップ」「バックアップ先はクラウドやUSBに保存」など、バックアップルールを決めておくことで、データ紛失のリスクを防げます。
自動計算に関数を活用する
Excelでの棚卸では、関数を活用すれば計算を自動化でき、作業効率を大幅に向上できます。Excelでの棚卸に使える代表的な関数を紹介します。
・SUM関数:合計を求める
『=SUM(数値1, [数値2, ... ])』
金額や在庫数などの合計を自動で算出できます。
・SUMIF・SUMIFS関数:指定した条件に適合するものを合計する
※条件が一つの場合は=SUMIF、複数の条件を指定する場合はSUMIFSを使う
『=SUMIF(範囲, 検索条件, [合計範囲])』
『=SUMIFS(合計範囲, 条件範囲1, 条件1, [条件範囲2, 条件2, …])』
特定の商品や金額などに縛りをつけてカウントをする場合に便利です。
・VLOOKUP関数:表の検索
『=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索の型)』
品番や商品コードで検索し、必要なデータのみ取得できます。
・ROUND関数:小数点以下を調整
『=ROUND(数値, 桁数)』
金額などを整数表示にしたいときに便利です。
・ISERROR関数:エラーを検出
『=ISERROR(値)』
エラーをチェックします。IF関数と組み合わせると、エラー時に空白や別の値に置き換えができます。
これら関数と併せて、条件付き書式やピボットテーブルなどの機能を使うのもおすすめです。条件付き書式を設定することで、数値が0でないセルだけ自動で色を変えることができます。また、ピボットテーブルを設定することで、入力済みの棚卸データの集計・分析がスムーズに行えます。
さらなる効率化を目指すならマクロを使う
関数では重くなってしまう計算や、関数よりも複雑な処理を自動化したい場合は、マクロの活用がおすすめです。たとえば以下の処理を自動化できます。
・空白セルの自動チェック
・入力ミスのアラート表示
・複数のシートの自動集計
・出力と自動保存
・ボタン1つで棚卸結果をメール送信
・見積書など棚卸業務以外の書類に連動
マクロと関数を組み合わせることで、作業効率が大幅に向上します。Excelに慣れたら、ぜひ試してみましょう。
棚卸を効率化する方法については別の記事でも詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
▼関連記事:「棚卸を効率化!早く終わらせるための実践的な方法とポイント」
Excel(エクセル)で棚卸を行うリスクと注意点
Excelを使った棚卸には多くのメリットがありますが、同時に注意しておくべきデメリットも存在します。
ここでは、エクセル棚卸に伴う主なリスクと、その対策について解説します。
データが増えると処理速度が遅くなる
Excelは表計算ソフトであり、処理できるデータ容量には限界があります。データが蓄積されていくとファイル容量が大きくなって処理速度が低下し、入力時にフリーズしたり、ファイルを開くのに時間がかかったりすることがあります。また、関数や条件付き書式、ピボットテーブルなどの機能を多用すると動作がさらに重くなります。
対策としては
・ファイルを分割して管理する
・CSV形式でエクスポートし、バックアップや容量の節約に活用する
などが有効です。しかし、これらの方法は一時的なもので、小規模・短期間の運用に適した措置です。長期運用・大規模データを扱う場合は、大量データの保存ができるクラウド型の在庫管理システムとの連携が有効です。
入力ミスなどのヒューマンエラーが起こり得る
Excelは手入力が基本となるため、ヒューマンエラーが起こる可能性があります。たとえば、数値の打ち間違いや削除ミス、入力漏れ、コピー&ペーストの操作ミスなどが考えられ、誤ったデータを上書きするリスクも伴います。
対策としては、数値フィールドに文字が入力されないように制限する、誰がいつデータを変更したのかを追跡できるようにする、ダブルチェックを行うなどが有効です。
バックアップを取る必要がある
Excelファイルは破損や誤削除のリスクがあります。破損などが起こってしまうと在庫管理が行えなくなり、最悪の場合、在庫を一から数え直すことになるため、定期的なバックアップが欠かせません。
定期バックアップの際は、古いバージョンを保持することで、データ破損時に過去のデータに戻せるようにしておきましょう。また、ローカルとクラウドの両方に保存することで、ハードディスクが故障しても、クラウドに保存したデータを別の端末からアクセスすることが可能になります。
バックアップは定期的に行い、安心して運用できるように努めましょう。
Excel(エクセル)での棚卸をさらに効率化させる方法
Excelによる棚卸は、基本的な作業の効率化に効果的ですが、ほかのツールと組み合わせることでさらに効果を発揮します。ここでは、バーコードやRFIDなどの技術を活用し、Excelでの棚卸をよりスムーズかつ正確に行うための手法をご紹介します。
バーコード・QRコード
在庫商品にバーコードやQRコードを貼付すると、ハンディターミナルやスマートフォンでデータを読み取るだけで、リアルタイムに在庫情報をExcelへ転送する事ができます。これにより、手入力によるミスを防ぎ、作業時間を大幅に短縮できます。バーコードやQRコードは検品や入出庫作業などでも活用でき、業務全体の効率化につながります。
RFIDタグ
RFID(Radio Frequency Identification)は、電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み書きするシステムです。バーコードのように一つずつスキャンする必要がなく、複数のタグを同時に読み取ることも可能です。袋や箱に入った状態でも読み取れるため、作業時間の短縮とヒューマンエラーの防止に貢献します。特に大量在庫を扱う現場では、その効果は非常に大きくなります。
「RFID」の仕組みや特長については別の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
▼関連記事:「RFIDとは?あらゆる業務を効率化に導く話題の技術を解説」
在庫・固定資産・備品の管理システムと組み合わせるとより効果的!
Excelによる棚卸は、ほかの在庫管理システムと連携することで、在庫状況が見える化され、一元管理や履歴分析、リアルタイムな在庫共有が可能になります。受発注やトレーサビリティにも対応し、業務全体の効率化・省人化にも効果的です。初期投資は必要ですが、長期的に見れば高い費用対効果が期待できます。棚卸規模が大きい・全社で在庫状況を共有したいなどの場合は、在庫管理システムの導入がおすすめです。
棚卸を効率化する方法については別の記事でも詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
▼関連記事:「棚卸を効率化!早く終わらせるための実践的な方法とポイント」
Excel(エクセル)を使った効率的な棚卸方法をお探しなら
ここまで述べてきたとおり、エクセルで棚卸を行うことにはメリットとデメリットがあります。
近年ではエクセル以外にも、在庫や備品などを管理するためのさまざまな方法・ツールが開発されており、棚卸の作業負担を削減できるようになってきました。
しかしなかには、「現在運用している方法から大きく転換させることが難しい」「使い慣れた方法で続けていきたい」と考える企業もあることでしょう。
ナテックでは、エクセルを使った棚卸をサポートする「タグエクセル」を提供しています。
商品や備品に貼り付けたRFIDタグを、専用リーダーで一括して読み取ることで情報をエクセルに入力することができるため、棚卸の作業負担を大幅に軽減することが可能です。
利用中のエクセルに機能を追加することで、読み込まれたタグはエクセルに自動反映され、ミスが起こる心配もありません。
簡単に効率化を目指したい企業様はお気軽にお問い合わせください。
まとめ
Excelを活用した棚卸は、小規模から中規模の企業にとって非常に有効です。導入のしやすさやコストの低さに加え、関数やマクロなどの機能を活用することで、業務の効率化が十分に可能です。
ただし、ヒューマンエラーやデータ容量の問題など、注意すべき点もあります。より効率的かつ正確な棚卸を目指す場合は、Excelとほかのツール・システムを組み合わせた運用も検討してみましょう。
※Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。