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RFIDとは?あらゆる業務を効率化に導く話題の技術を解説
(最終更新日:2025.03.03)

製品のチェックや在庫管理などの作業は、人の手で行おうとすると多くの手間や時間がかかります。特に近年では働き方改革への取り組みが国をあげて推進されており、時間外労働に対する考え方も大きく変化しています。実際に2019年には法改正が実施され時間外労働にも上限が規制されるようになりました。需要の拡大により人手不足が発生している事業においては、作業の一部をデジタル化するデジタルトランスフォーメーション(DX)の対策が急務と言えます。
この記事では、あらゆる業務の効率化の実現に役立つRFIDとは何か、基本的な仕組みや特長を紹介します。労働時間の制限や人為的ミスの発生で頭を悩ませている担当者の方にとって、RFIDをどのように活用できるかを知ることは多くのメリットを感じられるでしょう。
ナテックでは企業の働き方改革、作業効率化に貢献するRFIDソリューションを提案しています。効率的な方法を検討されている企業担当者の方はお気軽にご相談ください。
RFIDとは?
RFID(Radio Frequency Identification)とは、電波を用いてRFタグに記録されているデータを非接触で読み書きする自動認識技術をいいます。RFIDは離れた位置からタグ情報を読み取ることが可能であるため、例えば段ボールに梱包された商品を検品したり、在庫チェックしたりする際に箱から出す必要がありません。
RFIDを活用することで作業工数を削減し、作業効率を高められるので、小売、製造、流通、文教、サービス、医療など様々な業界で利用されています。また、近年では技術革新によってRFタグの小型化や高性能化、低コスト化などが進み、本格的な利用と普及が始まっています。
暮らしに身近なところでは、交通系ICカードや車のスマートキー、大手アパレルの商品タグなどに使われており、生活の至るところに浸透しつつあります。RFタグは消費者にとっても身近な存在となりつつあるので、業務効率化を検討する際はRFIDをどのように活用するかという視点に立って考えていくことも大切です。
RFIDの仕組み
では実際、RFIDはどのような流れで情報の読み込みや更新が行われるのでしょうか。一般的には下記のような手順で処理が行われています。
1. RFタグが電波を受信すると、RFタグ内に内蔵されたICチップが起動する
2. 起動したRFタグは、中の情報をリーダライタに返送する
3. 返送された情報はリーダライタ内で解析され、PCやデータベースに送信される
4. 情報はリーダライタや、PCにインストールされたソフトウェア上で管理される
このようにRFIDは、「リーダライタ」、「RFタグ」、「ソフトウェア」の3つの要素で構成されています。それぞれがどのような役割を担っているのか、さらに詳しくみてみましょう。
リーダライタの役割
リーダライタとは、RFタグと通信を行うための機器です。RFタグの情報の読み込みや、ソフトウェア上で更新された情報をRFタグに反映させることができます。
リーダライタには製造ラインなどの常時稼働が求められるような場面で活躍する「固定型」と在庫管理や点検作業などの場面で便利な「携帯型」の主に2つの種類があります。活用したい場面や運用ルールによってこれらの種類は決定されます。
RFタグの役割
RFタグは、データ情報を記録し、リーダライタからの電波を送受信するための装置です。管理したい対象物に1対1で貼り付けたり、内蔵したりすることで、個々の識別ができ情報を管理できる仕組みです。JIS(日本産業規格)においては「RFタグ」と定義づけられていますが、「ICタグ」、「RFIDタグ」、「電子タグ」などさまざまな呼ばれ方がされています。
RFタグは情報が書き込まれたICチップと電波を送受信するアンテナ、保護材が組み合わさってつくられます。ICチップとアンテナのみというシンプルな構造のため、カード型やコイン型、シール型、リストバンド型、スティック型などさまざまな形状に対応できるのが特長です。
また、RFタグには「アクティブタグ」、「パッシブタグ」、「セミパッシブタグ(セミアクティブタグ)」の3つの種類があり、どの種類のタグを選択するのかで通信距離などの機能レベルや導入費用が変わります。
ソフトウェアの役割
ソフトウェアとは、RFタグ内で保持している情報を取りまとめているデータ処理システムをいいます。リーダライタやRFタグは物理的な通信を担いますが、実際にデータ情報を管理しているのはこのソフトウェアとなるため、情報の更新や書き換えはこのソフトウェアを介して行われます。
ソフトウェアにはRFタグに渡す情報がデータベースとして格納されます。そのため、情報の書き換えというような処理だけでなく、情報のフィルタリング、整理といった解析にも活用できます。
このようにRFIDは「リーダライタ」、「RFタグ」、「ソフトウェア」から成り立っています。
RFIDの特長
RFIDには、以下のような特徴が備わっています。
1.読み取りの性能が高く複数のRFタグを一括認識できる
2.情報の書き換えが可能
3.遮蔽物や汚れに強く、加工しやすい
それぞれの特長について解説します。
1. 読み取りの性能が高く複数のRFタグを一括認識できる
電波方式のRFIDなら、距離が離れていても遠くにあるRFタグを読み取ることができ、読み込みたい対象物が直接見えていなくても通信が行えます。そのため、段ボールなどの箱の中に入っているRFタグの情報を読み取ることが可能です。
また、RFタグを1つずつ探し出して読み取る必要がない点も優れているといえるでしょう。スキャナをかざせばRFタグを一括で読み取れるので、大量の商品を取り扱う業種であっても作業効率を高められます。
2. 情報の書き換えが可能
状況によって異なりますが、RFタグは10万回や10億回といったデータの書き換えが可能です。例えば、交通系ICカードなどにおいては、使うたびに残額が変わるので情報を頻繁に書き換える必要があります。
RFIDという技術があるからこそ、成り立っている仕組みです。非接触技術が生活のなかで定着しつつあるのも、情報の書き換えが容易である点が大きく働いているからだといえるでしょう。
3. 遮蔽物や汚れに強く、加工しやすい
データ情報を保持するRFタグは仮に表面が汚れてしまった場合でも読み取りが可能です。製品の製造現場や工具の管理など、汚れがつきやすい環境であっても安心して活用できます。
また、RFタグはサイズや形状、素材に合わせて加工できるため、防水加工や防塵加工など用途に応じた最適化も実現できます。
RFIDとバーコード・QRコードとの違い
RFIDと似た技術として、バーコードやQRコードがあります。非接触で情報の読み込みができるという点では共通していますが、それぞれの特徴には違いもあるので押さえておきましょう。
バーコードとの違い
バーコードはRFIDとは異なり、通信距離が数cmと短く、離れていると読み取りができません。また、保持できるデータ量が20文字程度と少なく、数千文字のデータを保有できるRFIDと比べると大きな差があります。
さらに、バーコードではデータの書き換えが行えないため、新たな情報を読み込むにはバーコードを貼り換える必要があります。情報の更新を頻繁に行う必要がある製品やサービスの場合にはバーコードでの運用は手間がかかるかもしれません。また、バーコードはリーダで読み込みを行う際に、コード部分がはっきりと見えている必要があります。そのため、汚れや遮蔽物でバーコードが隠れてしまうと読み取りができない点もRFIDと異なる部分です。
QRコードとの違い
QRコードもバーコードと同様に、RFIDに比べると通信距離が短い点が挙げられます。保有できるデータ量はバーコードより増えるものの、書き換えができないのがデメリットです。また、バーコードと同様にQRコードもコード部分が見える状態でないと読み込みができません。汚れや遮蔽物があると活用できないため、積み上げられた大量の在庫や重たいものを管理するには不向きといえます。
一方でRFIDは遠距離で通信や遮蔽物や汚れの影響、データ量など多くの面でバーコードやQRコードより優れた機能を持ち合わせます。バーコードやQRコードではできない同時読み込みも可能なため、棚卸や在庫管理などの業務効率化を促進させる効果を発揮します。
また、RFIDには様々な種類があり、バーコードやQRコードでは実現ができなかった作業にも利用できる可能性があります。「こんなことに利用できないかな?」「この課題を解決したい!」など気になることがあればまずは専門家へ相談してみてはいかがでしょうか。ナテックではお客様の作業内容、課題にあわせたRFIDソリューションをご提案しています。ぜひお気軽にご相談ください。
RFID導入のメリット
RFIDを導入するメリットとして、業務効率の向上や人為的ミスの抑制、顧客の満足度向上、企業のDX化を促進できる点などが挙げられます。それぞれのポイントについて解説します。
業務効率の向上
RFIDを導入することで作業工程を減らし、作業スピードを高められるため、業務効率化につなげられます。RFIDであれば複数のタグを一度に読み込めるので、個々の対象物を読み取る手間が省け、大幅な時間短縮を実現できるでしょう。
様々な種類の薬や医療物資を取り扱う医療現場においても、一括読み取りができるRFIDの特徴は大きな効果を発揮します。
人為的ミスの抑制
RFIDでは、通信機器を効率良く使うことによって、人為的な確認漏れといったミスが発生しにくいといえます。人為的なミスを抑制できるので、貴重な医療製品などを取り扱う場面においても、高い精度で在庫管理を行えるでしょう。
RFIDは比較的多くのデータ量が書き込めますし、遠距離での通信も可能であるため、多くの種類の製品を管理するのに向いています。
顧客の満足度向上
RFIDを導入することで、作業工程のスピードアップや、人為的ミスの抑制ができます。作業の効率化やミスを減らすことで、コストダウンや素早い商品提供などに結びつけられます。
結果的に、顧客(エンドユーザー)の満足度を高めることにつながり、事業活動にとってプラスになる部分が大きいでしょう。
企業のDX化を促進
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データやデジタル技術を用いて、顧客目線で新たな価値を創出していくことを指し、その実現のためにビジネスモデルや企業文化などの変革に取り組むことです。デジタル技術を駆使することで、企業経営や業務プロセスを改善していくDX化は経済産業省も提唱しており、RFIDの導入によってDX化の推進につなげられます。
単にデジタル技術を導入するだけでなく、ビジネスモデルや事業構造そのものを変革させていくことがDXの目的であるため、RFIDの導入はDXの実現に役立ちます。
出典:経済産業省|デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン
RFIDが導入されている主な業界
RFIDが備えている特徴を活かせば、様々な業界で業務改善につなげていけます。ここでは、いくつかの業界において、実際にどのような使い方ができるのかを紹介します。
製造業界
まず製造業界においては、在庫管理をはじめ、製品の製造工程の進捗管理や労働者の工数管理などに活用されています。例えば、RFタグを台車やパレット、工具などに取り付けることで、在庫管理や物品・備品などの資産管理、工具などのモノを探す手間の削減に生かせます。
作業所内のモノの位置を的確に捕捉できることで、工数削減につなげられるでしょう。また、製品の生産から廃棄に至るまでの流れを追跡し、データの収集やトラブル対策につなげていくトレーサビリティの実現にも、RFIDは役立ちます。
RFIDによって正確な作業管理が行えるようになり、作業効率を低下させているボトルネックの特定を行いやすくなるでしょう。工数に関するデータをリアルタイムで収集できるため、人員配置や生産計画の策定に効果を発揮できます。
さらに、従業員証などにRFタグを取り付ければ人の動きを把握しやすくなり、工場のスマート化の推進にもつながります。作業の開始・終了時にリーダライタでRFタグを読み取る仕組みを構築すれば、労務管理や工数管理の手間を減らすことが可能です。
手書きの日報の廃止やペーパーレス化につながり、作業効率のアップや生産性向上の実現に結びつけられるでしょう。
製造業ではエクセルなどを活用して在庫管理や工数管理を実施している場合が多く、RFIDの導入にハードルの高さを感じている企業も少なくありません。ナテックではICタグを読み取らせることでエクセルに情報の自動反映をさせる「タグエクセル」というシステムを開発しています。
なるべく安価に作業効率を高めたい方はこのような簡易的なシステムのご提案もさせていただきますのでお気軽にご相談ください。
医療業界
医療業界においては、医療機器の入出荷管理や検体管理、薬品管理、投薬管理などの目的でRFIDは利用されています。RFIDを活用することで、人や現場に依存している作業の負担軽減や医療過誤の防止につながります。
医療機器メーカーなどにおいては、製品を正確に用意して、納期に合わせて出荷する必要があります。しかし、類似した製品も多いため検品作業を人の手だけで行うとすれば、身体的にも精神的にも負担が大きくかかってしまいます。
RFIDを導入することで作業の習熟度にかかわらず、誰でも素早く検品作業を行えるようになり、作業効率を高められます。また、検体管理や投薬管理といった正確性が求められる場面においては、RFIDの導入によって作業の負担を軽減でき、医療過誤の発生を抑制することにつながるでしょう。
物流業界
物流業界ではRFIDを活用することで、入出庫管理や検品作業、在庫管理、棚卸、物流資材の管理などを効率化できます。作業時間の大幅な短縮や業務の属人化を防ぐことにつながるため、労働時間を減らす取り組みとしてもプラスになります。
特に物流業界においては、働き方改革によって労働時間に上限が課される「2024年問題」への対策が必要です。具体的には、ドライバーの時間外労働が年間960時間までに制限されるため、作業の効率化を図らなければ業務に支障が出る恐れがあります。
限られた労働時間のなかで作業効率を高めるためにRFIDは注目されており、物流に関する様々な場面で活用する動きが強まっています。
金融業界
金融業界では、比較的早い時期からRFIDの活用が進められていました。銀行や証券会社、保険会社などにおいて、重要文書・記録メディアの管理や保管場所の把握、誤廃棄の防止などにRFIDが役立てられています。
顧客情報などに関する文書やデータは膨大な量に及ぶため、人や現場に作業を依存した体制では業務負担が大きくなってしまいがちです。RFIDを導入することで作業の標準化や効率化を実現でき、人為的ミスの発生を防止することにつなげられます。
また、サービスを維持するための管理コストを抑えられることで、その分を顧客に還元できるようになり、顧客満足度の向上が期待できます。
飲食業界
飲食業界では、食材の管理や会計、消費者行動の分析などでRFIDが活用されています。例えば、大手回転寿司チェーンにおいては、寿司をのせる皿のすべてにRFタグを取り付けており、食材廃棄の管理や会計、顧客の消費パターンの分析などに役立てています。
会計を迅速に行えるだけでなく、皿に取り付けられたRFタグをセンサーが読み取ることで、「どういったお客様が何をいつ、どれだけ食べたのか」といった情報を正確に把握することが可能です。商品のラインナップの最適化や仕入れコストの削減を実現しています。
また、皿が一定の距離を流れたら自動廃棄するというルールに変更したことで、廃棄率を5%削減しています。RFIDの導入によって結果として廃棄量が減り、原価率の低減にもつなげられました。
この事例の場合、RFIDの機能を最大限に活用して経営効率の改善を達成しています。在庫管理や販売管理といった枠組みを超えて、発想次第で様々な活用方法ができることを示した好例であるといえるでしょう。
自動車業界
自動車業界では、常に作業効率の改善やDX化が求められています。そのため、RFID技術も製造工程だけでなく、物流や品質管理などあらゆる場面で活用されています。
例えば、ドイツの高級自動車メーカーでは、RFIDを基盤としたシステムを導入し、製造した自動車の仕上げ、保管、出荷の各工程を可視化できるようにしました。その結果、出荷のために該当車両を探す時間を大幅に削減することができ、作業効率が向上しました。加えて、車両を探すことでかかっていた運搬ドライバーへの心理的な負担や労力軽減にもつながる結果となりました。
また、別のスポーツカーメーカーの事例では、RFID技術を利用して試作車に搭載している部品を追跡できるような取り組みを実施しました。これにより第三者に見られる可能性を低下させることに成功しています。さらに試作車に取り付けれた部品はRFIDを利用することで、容易に1つ1つを識別できるようになりました。煩雑な実験が繰り返される試作現場で、迅速かつ正確に部品の交換を行えるようになり作業効率が格段に向上しました。
これらの事例からもわかるようにRFIDはさまざまな場面で活用され、利用している業界も多岐にわたります。RFIDは改善したい課題や悩みにあわせて活用できるところが最大の特長であるため、人手不足、作業効率化、働き方改革など、今後もさまざまな場面や業界での活躍が期待されることでしょう。
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そのため、スモールスタートとしてコストを抑えながら素早く導入することが可能です。
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カスタマイズができるからこそ、入出庫管理や備品管理、固定資産管理など様々な用途にご利用いただけます。
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企業様の課題解決に適したICタグの選定、RFIDを読み込むためのリーダ提案、データ管理のためのソフトウェアなど一気通貫で対応可能なため、まずはご相談からお気軽にお問い合わせください。
まとめ
RFIDはバーコードやQRコードと異なり、複数の情報を同時に読み込むことができ、情報の書き換えが行えるといった特長を備えています。RFIDを導入することによって、様々な業界において作業・管理工数の削減や業務の効率化、生産性の向上などにつなげられるでしょう。
また、作業スピードを高めるだけでなく、人為的ミスの抑制にも役立つため、正確性が求められる作業においても活用が期待できます。デジタル技術を用いて、経営のDX化を図る際にはRFIDの活用を検討してはいかがでしょうか。