
高セキュリティなICチップを搭載した非接触ICカード
FeliCaは、交通系カードや電子マネーなどの規格として日本国内で最も普及している規格です。
セキュリティが非常に高いこと、電子マネーカードとして利用が出来ること、NFCにも対応していることなどから利用範囲が拡大しています。
FeliCaには、大きく「FeliCa Standard」と「FeliCa Lite-S」の2種類があります。
-FeliCa Standard…セキュリティー性や拡張性が高い
-FeliCa Lite-S…セキュリティーや機能を最低限に抑えている
そもそもFeliCaとは?
FeliCaは、ソニー株式会社が開発した非接触型ICチップ技術です。
その名は「Felicity(至福)」と「Card(カード)」に由来します。FeliCaに内蔵されているICチップは、通信機能やデータ処理機能を備えており、リーダーにかざすだけで瞬時にデータの送受信や認証が行えます。また、複数のデータ領域を持ち、さまざまな情報を柔軟に記録・管理することができるため、日常生活の多様なシーンで活用されています。
FeliCaのICチップはカードだけでなく、ラベル、小型サイズのタグ、リストバンド、キーホルダーなどさまざまな形状にてご利用いただけます。

“かざすだけ”で利用できるFeliCaの仕組み
これまでの利用されていた磁気カードなどは、カードを接触させることで情報を読み取る仕組みでしたが、FeliCaは情報を読み取る媒体(リーダライタ)と電波を通じて情報のやりとりを行うため、非接触で通信を行える仕組みとなっています。
FeliCaとNFCの関係

FeliCaは、NFC(近距離無線通信)の一種である「NFC-F」という通信規格をベースにしています。NFCは約10cm以内の近距離でデータを送受信できる非接触の近距離無線通信技術のことで、複数の規格が存在します。FeliCaは「NFC-F」というNFCのオープン規格にFeliCa独自のカードOS(※1)を加え、スピーディーかつ安全なデータ通信を実現しています。この仕組みのおかげで、日本の交通系ICカードや電子マネーで広く利用され、信頼性の高いサービスを提供しています。
(※1)カードOS:オペレーティングシステム、カードがどのようにデータをやりとりするかのルール
MIFAREとの違い
FeliCaとよく比較検討されるものに「MIFARE」という非接触ICカードがあります。FeliCaもMIFAREも非接触型ICカード技術という点では同じですが、異なる通信規格や特徴があります。FeliCaは日本で主に利用されており、「NFC-F」という規格をベースにしています。高速なデータ転送が特徴で、交通系ICカードや電子マネーなどに適しています。一方、MIFAREはNXPセミコンダクターズが開発した非接触型ICカードで主に「NFC-A」という規格を採用し、世界各国に普及しています。MIFAREはアクセス制御や入退室管理、プリペイドシステムで使われることが多く、比較的費用を抑えて導入できる点や国際規格であることが特徴です。
FeliCaとMIFAREはそれぞれ得意領域が異なります。自社の運用にあわせた規格を選定することが重要です。
ナテックではどの規格を選べばよいのか、企業様の課題や目的から適切な規格をご提案可能です。お気軽にお問い合わせください。
FeliCaの5つの特徴
1:高速通信
FeliCaのセキュリティは、相互認証とデータ暗号化で成りすましを防ぎ、通信のたびに新しい暗号鍵を生成します。これにより、安全性が高まり、信頼性も向上します。さらに、カード発行時には発行者と製造会社間で情報を暗号化して安全に受け渡し、出荷時には「出荷鍵」を設定することで輸送から発行までのセキュリティも確保されています。FeliCaの最新技術は、ISO/IEC 15408 EAL5+以上のセキュリティ評価を取得しており、非常に高い安全性を提供しています。

2:高いセキュリティ
FeliCaのセキュリティは、相互認証とデータ暗号化によって成りすましを防いでいます。通信のたびに新しい暗号鍵を生成し、安全性を高めるオープンスタンダードなアルゴリズムを採用しているため、信頼性が高いのが特徴です。さらにカード発行時には、発行情報や暗号鍵の情報を発行者と製造会社間で暗号化し、安全に受け渡す仕組みも備えています。カードが出荷される際には「出荷鍵」を設定することで、輸送から発行までのセキュリティも確保しています。

3:1枚で何役もの使い道
FeliCaカードには、データをフォルダーやファイルのように管理できる機能があり、複数のサービスを一枚にまとめることができます。たとえば、電子社員証として利用する場合、社員の入退室を管理するID機能、PCへのログイン認証、そして電子マネー機能まで一枚で幅広く対応できます。このように、FeliCaカードは様々なサービスを一体化できるため、利便性が高く、多機能なカードとして利用されています。

4:汚れや傷に影響されない
FeliCaカードは、汚れや傷に強い設計がされています。カードの表面は丈夫な素材で覆われており、通常の使用で汚れや傷がついても、読み取りに支障をきたしません。これにより、カードが汚れたままでも問題なく機能し、長期間使い続けることができます。例えば、財布の中で他の物と擦れて傷がついても、通信機能には影響を与えないため、カードを使う際の安心感が増します。この耐久性は、日常的に使う上で非常に重要な特徴といえます。

5:カード形状以外にも対応可能
FeliCa技術は、カードだけでなく、さまざまな形状にも対応しています。例えば、携帯電話やコイン型のトークンに組み込むことができ、さらに腕時計やキーホルダーにも利用可能です。これにより、FeliCaを使った非接触型決済や認証システムは、カードを持たなくても利用でき、より便利に日常生活に溶け込むことができます。形状に制限がなく、さまざまなアイテムに組み込めるため、用途が広がり、使い勝手が向上しています。

主な活用例
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イベント入場管理システム
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商業施設のポイントカード
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社員証・IDカード
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学生証
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地域商店街のポイントカードや電子マネーカード
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ホテル ルームキー
FeliCaはその汎用性の高さから、さまざまなご活用方法がございます。
1. イベント入場管理システム
展示会や音楽フェスティバルなどのイベントで、FeliCaカードを来場者に配布し、入場管理を効率化します。
- ・カードに個別のIDを割り当て、入場ゲートでタッチするだけで本人確認と入場記録が可能
- ・事前登録でチケットとカードをリンクさせることで、受付業務を大幅に削減
- ・イベント終了後も来場者へのアンケート送付や次回案内に活用
2. 商業施設のポイントカード
地域密着型の商業施設や個人店舗で、FeliCa Lカードをポイントカードとして利用できます。
- ・レジでの会計時にタッチすることで、ポイントを即時付与
- ・スマートフォン連携で、カードのポイント残高や利用履歴を確認可能
- ・店舗間でポイントを共通化し、集客力を強化
3. 社員証・IDカード
FeliCaカードがオフィスのセキュリティ管理と業務効率化に寄与します。
- ・入退室管理システムに連携し、セキュリティエリアへのアクセス制御
- ・社員食堂や自販機でのキャッシュレス決済に利用
- ・勤怠管理との連携で業務効率を向上
4. 学生証
学生証として校内施設の利用や出欠管理に導入できます。
- ・図書館での書籍貸出、食堂での支払いなどに利用可能
- ・授業の出席確認をICリーダーで簡単に実施
- ・校門でのタッチ操作で登下校記録を保護者に通知
5. 地域商店街のポイントカードや電子マネーカード
観光地の複数施設を結ぶ周遊券としてFeliCa カードを発行できます
- ・地域商店街の活性化にポイントと電子マネー(地域振興券)
- ・使用履歴を基にしたマーケティング分析も可能
- ・観光客の利便性向上により地域の観光収益が増加
- ・紙の地域振興券からの変更により運営コストが低減(集計業務や偽造防止対策)
6. ホテル ルームキー
FeliCaカードをホテルのルームキーとして使用することで、タッチ操作で簡単に客室の施錠・解錠が可能となります。従来の鍵や磁気カードよりもセキュリティ性と利便性を向上させます。
導入から運用までの流れ
導入までの手順
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お問い合わせ
まずはお気軽にご相談・
お問い合わせください -
お打ち合わせ
悩みや課題、実現したいことの
ヒアリングを実施いたします。 -
お見積り・ご提案
要件にあわせてお見積りと
ご提案をさせていただきます。 -
デザイン作成
デザインデータをご支給いただく、
もしくはいちからデザインの作成を
行います。 -
製造着手
校了したデータをもとに
カード製造を開始します。 -
納品
お手元にカードを
お届けします。
FeliCa Standard
FeliCaには、大きく「FeliCa Standard」と「FeliCa Lite -S」の2種類があります。
高いセキュリティ性や拡張性が必要な場合にはFeliCa Standardが、機能を最低限に抑えてコスト重視での導入であれば「FeliCa Lite -S」がおすすめです。
FeliCa Standard SD2(RC-S120)
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通信方法 | ISO/IEC 18092 |
動作周波数 | 13.56 MHz |
通信速度 | 212 kbps、424 kbps(※2) |
セキュリティマイグレーション機能 | あり |
システム分割機能 | あり |
メモリータイプ | 6 KB(不揮発性メモリ) |
ユーザーメモリー | 249 ブロック(1 ブロックは16 バイト) |
搭載暗号方式 |
AES暗号方式
DES暗号方式 AES-MAC認証方式 FeliCa Standard SD1(RC-S100)
AES暗号方式あるいはDES暗号方式 |
搭載コマンド |
AES暗号化対象コマンド
DES暗号化対象コマンド MACつき通信対象コマンド 非暗号コマンド FeliCa Standard SD1(RC-S100)
AES暗号化対象コマンド DES暗号化対象コマンド 非暗号コマンド |
(※2)424 kbps通信を利用するには、リーダー/ライターが424 kbps通信に対応している必要があります。
FeliCa Lite-S
FeliCa Lite-S(RC-S966) | |
---|---|
通信方法 | ISO/IEC 18092 |
動作周波数 | 13.56 MHz / ASK変調 / マンチェスター符号化方式 |
通信速度 | 212 kbps、424 kbps(※2) |
セキュリティマイグレーション機能 | なし |
システム分割機能 | なし |
メモリータイプ | 6 KB(不揮発性メモリ) |
ユーザーメモリー | 14 ブロック(1 ブロックは16 バイト) |
搭載暗号方式 | なし |
搭載コマンド | 暗号化非対象コマンド |