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FeliCaとMIFAREの違いとは?用途や特徴を徹底解説
(最終更新日:2025.05.08)

ICカードでのタッチ決済や、スマートフォンでの電子マネー決済など、現代では「かざす」だけで通信できる技術が発達しています。その一つが、ソニー株式会社の非接触ICカード技術方式「FeliCa(フェリカ)」 です。また、NXPセミコンダクターズ社の「MIFARE(マイフェア)」 もシェアが大きく、どちらを採用すべきかお悩みの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、FeliCaとMIFAREの違いや特徴、選定ポイントまで詳しくお伝えします。これらの内容を事前に把握しておくことで、自社プロジェクトに適した製品を選べるでしょう。セキュリティ面やコスト面、安定性などについても解説しますので、ぜひ選定にお役立てください。
ナテックではFeliCaとMIFAREの両カードを取り揃えています。NFCやRFIDのトータルソリューションも提供していますので、自社の課題を解決したくて導入をご検討中の方はぜひお気軽にご相談ください。
そもそもFeliCaとMIFAREって何?
FeliCaとMIFAREは、どちらも非接触ICカードのICチップ製品名です。非接触ICカードとは、交通系ICカードやホテルのカードキー、社員証など、読み取り機器にかざすことで認証を行うカードのことです。その中で、FeliCaとMIFAREには開発元や機能、シェアの大きさなどに違いが見られます。
FeliCaの開発元はソニー株式会社、MIFAREの開発元はオランダの企業・NXPセミコンダクターズ社です。それぞれ、セキュリティレベルや機能、単価の異なる数種類のラインナップがあり、用途や予算に合わせて利用されています。日本でのシェアはFeliCaの方が大きいものの、世界的にはMIFAREのシェアが大きく、いずれも広く普及している通信技術です。
FeliCaの4つの特徴
FeliCaは、ソニー株式会社が開発した非接触型ICカードの通信技術です。主に交通系ICカードや社員証・学生証といったカードに用いられています。種類は大きく分けて「FeliCa Standard」「FeliCa Lite-S」の2種類です。その違いも含め、以下でFeliCaの4つの特徴をご紹介します。
1. セキュリティに強い
FeliCaは、セキュリティ性が高いことが特徴です。FeliCaの種類によってセキュリティの強さは異なりますが、「FeliCa Standard」のうちのひとつ「FeliCa Standard SD2」は、2021年10月にIT製品やシステムのセキュリティ性能を評価する国際標準規格「ISO/IEC 15408」の評価保証レベルEAL6+を取得しており、業界最高レベルのセキュリティを誇ります。
また、FeliCa Standardのセキュリティ機能を制限した低コストタイプとして「FeliCa Lite-S」があります。
2. 通信速度が速い
通信速度が速いこともFeliCaの強みです。Felicaは、データの送受信が両方の端末で均等に行われる「対称通信」が採用されており、信号を複数に分けるために使われる「副搬送波」も使わないため、約0.1秒という高速通信を実現しています。
3. 1枚で何役も担える
FeliCaのカード内には、「フォルダ」と「ファイル」に相当する機能があります。そのため、1枚のカードに複数のサービスを盛り込めます。たとえば、電子社員証に入退室IDやPCログイン、電子マネーまでを幅広く搭載することができます。幅広いサービスのなかから必要なものを組み合わせることで、プロジェクトに適した機能を実装できます。
4. カード以外の形状にも対応できる
FeliCaの技術は、ICカード以外のさまざまな形状にも対応しています。たとえば、携帯電話やコイン型のトークンなどにも搭載可能です。FeliCaの用途によっては、ICカード以外の形状も検討してみるとよいでしょう。
MIFAREの4つの特徴
MIFAREは、NXPセミコンダクターズ社が開発した非接触型ICカードの通信技術です。主に会員カードや交通系ICカード、カードキーといった形で用いられています。種類は大きく分けて「MIFARE Classic」「MIFARE UltraLight」「MIFARE DESFire」「MIFARE Plus」の4種類です。それらの違いも含め、以下でMIFAREの4つの特徴をご紹介します。
1. 世界中に流通している
MIFAREは、非接触型ICカードの国際通信規格である「ISO/IEC 14443 Type-A」に準拠しており、ロンドンや北京、ソウルなど、世界中で12億人以上(※1)が利用しています。利用企業も1,000を超えており(※2)、国際的に広く活用されています。
(※1)(※2):MIFARE(HF)|NXP Semiconductors
2. 種類が豊富にある
MIFAREは、種類が豊富にあるため、必要な機能や用途、セキュリティレベルにあわせて適切なICカードを選べます。以下で、簡単に各カードの特徴を解説します。
・MIFARE Classic
…低価格かつ国際規格「ISO/IEC 14443 Type-A」に準拠しています が、暗号化アルゴリズムの脆弱性に注意が必要です。電子マネーや交通系ICカードなどに利用されています。
・MIFARE UltraLight
…MIFARE Classicからセキュリティ機能を除き、メモリ容量を64バイトに縮小した簡易版。こちらも低価格で、会員証や電子チケットなどに利用されています。国際規格「ISO/IEC 14443 Type-A」に準拠しており、パスワード機能で簡単な認証も可能です。
・MIFARE DESFire
…MIFARE Classicよりもセキュリティ性が高く、「トリプルDES認証」を採用。国際規格「ISO/IEC 14443 Type-A」に準拠しています。 メモリ構造の変更により、さまざまなシステムに対応できる柔軟性の高さも特徴です。世界各国の交通券に利用されています。
・MIFARE Plus
…MIFARE Classicよりもセキュリティ性が高く、国際規格「ISO/IEC 14443 Type-A」に準拠しています 。欧米各国の公共機関のセキュリティカードや、マネーカードとして利用されており、日本でも今後の普及が期待されています。
3. 比較的低コストで導入できる
世界中で流通しているMIFAREは、さまざまなソフトウェア・ハードウェアとの互換性があります。そのため、既存のシステムを変えることなく導入を開始できるケースもあり、その場合、カード以外の初期費用を抑えることができます。また、MIFARE ClassicやMIFARE UltraLightは、機能を制限することで大量生産が可能となるため、使い捨てのイベントチケットなどの低単価なプロジェクトに利用することもできます。
4. さまざまな形状へ組み込むことが可能
MIFAREもFeliCa同様、ICカード以外のさまざまな形状に対応可能です。携帯電話やチケット、ウェアラブル端末などに組み込めます。
FeliCaとMIFAREの違い
最大の違いは規格!MIFAREの方が世界への普及率は高い
FeliCaとMIFAREの一番大きな違いは、準拠する規格です。MIFAREは国際規格「ISO/IEC 14443 Type-A」に準拠しています。一方FeliCaは、国際規格「ISO/IEC 18092」に加え日本の規格「JIS X 6319-4」にも準拠 しています。こうした事情もあり、日本ではFeliCaの普及率が高くなっています。しかし、世界的にはMIFAREの方が普及率が高く、世界750以上の都市で利用されています。
セキュリティへの信頼性はFeliCaの方が高い
MIFAREの1種である「MIFARE Classic」は過去にセキュリティの脆弱性が指摘されています。一方、FeliCaは現時点においてそのような脆弱性は発見されていません。そのうえ、FeliCaは通信データの暗号化はもちろん、カード出荷時に「出荷鍵」を設定することで、カード輸送からカード発行までの安全性を確保しています。また、カード発行時には、発行情報や鍵変更情報を暗号化し、発行者とカード製造企業との間で安全に受け渡すというソニー独自の仕組みにより、厳重なセキュリティを実現しています。
FeliCaとMIFAREどちらを選ぶ?選定のポイント
FeliCaとMIFAREのどちらかを選ぶにあたり、押さえておきたいチェックポイントが3つあります。以下でその3つをご紹介します。
使用したいシステムとの互換性を確認する
FeliCaとMIFAREはその規格に違いがあるため、対応可能なソフトウェア・ハードウェアにも違いがあります。「既存システムとの互換性があるか」「システムの拡張性はあるか」など、規格について事前に確認しておき、対応可能な方を選びましょう。
導入にかかる全体コストを確認する
選定する際には、ICカードの購入費だけでなく、全体的な導入コストを比較することも重要です。カード以外の形状を採用し組み込みを行う場合や、ソフトウェア・ハードウェアと互換性がなくシステム変更も必要となった場合には、FeliCaとMIFAREの費用以外のコストも発生します。具体的に導入コストを試算し、問題がないかを確認しておきましょう。
必要なセキュリティ基準に達しているか確認する
FeliCaもMIFAREもさまざまな製品がありますが、選びたい製品が自社の求めるセキュリティ基準に達しているかどうかは必ず確認しておきましょう。製品のセキュリティレベルによって価格も変動するため、コストの低さのみを基準にするとセキュリティ基準に達しない製品を選んでしまう可能性もあります。ICカードで取り扱う情報の重要度を把握し、適切なセキュリティレベルの製品を選びましょう。
また、一口にセキュリティといっても、その内容はさまざまなものがあります。データ暗号化やアクセスコントロール、認証機能やデータ改ざん防止など、それぞれの製品に備わっている機能が求めるセキュリティの種類に合うかどうかを把握したうえで選定することが重要です。
非接触ICカードの選定には専門知識が必要
ここまでFeliCaとMIFAREについて、それぞれの特徴や違い、選定ポイントをご紹介しました。これらの知識をもとに製品を選ぶことはもちろん重要ですが、問題を見落とさずスムーズな導入を実現するには、専門的な知識や経験が必要な場合もあります。どちらを選ぶべきか迷う場合は、専門業者への相談をおすすめします。
また、FeliCaもMIFAREもICカード以外の方法での利用も可能です。「ICカード以外への組み込み方が分からない」、「組み込み後、自社サービスにどう活用すればよいか分からない」といったお悩みをお持ちの場合も、一度専門業者に問い合わせてみるとよいでしょう。
FeliCaとMIFAREの導入ならナテックへ
FeliCaとMIFAREの両方を取り扱っている
ナテックではFeliCaとMIFAREのどちらの非接触ICカードも取り扱っています。製品ラインナップは下記で紹介しています。
運用にあわせた組み込み構築も可能
日本にまだ「カード社会」の到来が想像もされていなかった30年以上前からナテックではカード製造事業に進出しています。ヒアリングからデザイン設計、ハードウェアの提供など長い歴史があるからこそお客様の課題にあわせた提案が可能です。
RFIDやNFCの全体ソリューションの実績が豊富
FeliCaやMIFAREだけでなく、NTAGなどその他ICカードやRFIDソリューションを提供しています。どのような課題を抱えているのかによってその解決策は異なります。ナテックではこれまでさまざまな課題を抱える企業様の支援を行ってきた実績があります。
実績についてはほかのページでも紹介していますのでぜひご覧ください。
まとめ
FeliCaとMIFAREは、準拠する規格やセキュリティ面に違いがあります。それぞれの製品にはバリエーションがあるため、求める機能やセキュリティレベル、コスト感を踏まえ、目的に合った製品を選ぶことが大切です。本記事でご紹介した比較ポイントを参考にしつつ、比較検討してみましょう。
また、「各製品のセキュリティレベルや機能について、詳しく話を聞きたい」「自社の要望に適した製品を選びたい」という方は、ぜひ一度ナテックまでご相談ください。スムーズな製品選びのお手伝いをいたします。
※「FeliCa」は、ソニー株式会社の登録商標です。
※「MIFARE」は、NXP B.V.の登録商標です。