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会議室予約システムにおいて、入退室がワンタッチでできるように。NTAGラベルの導入でユーザビリティが向上
2016年1月に創業した株式会社RECEPTIONISTは、クラウド受付システム「RECEPTIONIST」や日程調整ツール「調整アポ」、会議室予約システム「予約ルームズ」を提供している気鋭の企業だ。同社は、「予約ルームズ」で使用している会議室の入退室方法の一つとして、2024年11月よりナテックが手がける「NTAGラベル」及び台紙を導入。導入から半年ほど経過した現在、NFCタグの利便性を強く実感しているという。導入までの経緯や成果について、株式会社RECEPTIONIST ソリューションエンジニアグループ マネージャーの山野健誠様へ詳しく伺った。
「会議室への入退室手続きをより簡略化できないか」とNFCに着目
「予約ルームズ」は、空予約の自動キャンセルや無断利用防止機能を備えた会議室予約システムだ。連携するカレンダーや管理画面から会議室を予約し、入退室時には会議室に設置された端末の「入室」「退室」ボタンを押下するか、端末が設置できなければQRコードをスマホで読み込んで手続きを行う。2020 年のサービス開始以来、企業規模にかかわらずさまざまな企業へ導入されているが、 導入が進むにつれ、クライアントから「もっと簡便な入退室方法はないか」と要望が寄せられるようになった。
「というのも、QRコードの場合、1度スマホのロックを解除しカメラモードを起動しなくてはならないという手間が生じます。そこで『もっと簡略化できないか』と目をつけたのがNFCでした。NFCであれば、スマホで触れるだけで入退室の手続きが完了しますから。2024年ごろから、本格的に検討を始めましたね」
選定にあたっては、ナテック含め4~5社を比較検討した。決め手になったのは単価の安さ、発注単位、納期の短さだったという。「NFCでの入退室をご要望くださったクライアントの導入スケジュールに合わせるため、急ピッチで作業を進めなくてはなりませんでした。運用開始まで、猶予は1か月ほどしかなかったと思います。そのタイトなスケジュールにも、ナテックさんは対応してくださいました。また、NFCタグだけでなくタグを貼付する台紙まで丸ごと製作してくださるという点も魅力的でした」と山野氏は振り返る。
NFCタグの種類について、担当者と徹底的に協議
株式会社RECEPTIONIST 営業部 ソリューションエンジニアグループ マネージャー 山野様
選定に約1週間、要件のヒアリングや打ち合わせに2~3週間、発注から納品まで約1週間。打ち合わせの際は、台紙の下に埋め込むNFCタグの種類をどうすべきか、ナテック担当者と徹底的に協議した。
「NFCタグと一言で言っても、種類ごとに大きさや中に書き込めるデータの容量が全く異なります。それに応じてコストも変わってきてしまいますので、弊社の要望に合ったNFCタグは一体どれなのか、ナテックさんと相談しながら探していきました。担当者の方に実物のNFCタグを見せていただいたり、タグの認識が上手くいくか試行していただいたりとさまざまな形でサポートを受けることができて、非常にありがたかったです。対面だけでなく、電話でも積極的に支援してくださいました」
運用開始までごく短期間ではあったが、2024年11月、無事にNTAGと台紙の導入が完了。2025年3月現在、数社ほどがNFCでの入退室を行っている。NFCを導入している企業からの評判は上々だ。「やはり、スマホのカメラアプリを起動することなく、ワンタッチで手続きが完了できるようになったというのは大きいです」と山野様は語る。
「QRコードの場合、スマホロックを解除した後カメラを起動し、QRコードを読み取る必要があります。一方、NFCはスマホロックを解除した後、NFCタグにスマホをかざすだけ。たった1つの操作の違いなのですが、この1操作が削減されるだけでユーザーの心理的負担は格段に減るのです」
データをナテックに渡すだけで、1週間後に台紙ごと納品。運用も簡単
導入に際しても、RECEPTIONIST側がデータを準備し、ナテックへ渡すだけで1週間後には「NTAGラベル」を組み込んだ状態の台紙が届く。届いた台紙をエンドユーザーへ納品すれば、あとは会議室の前へ貼り付けるだけなので運用は容易だ。RECEPTIONIST側でエンコードする情報についても、専門知識がなくても扱えるよう、山野様がリストを整備済みだという。
「QRコードに比べ、台紙などを自由にレイアウトできるため、個々の企業に合わせたデザインが可能なのもメリットですね。デザインにこだわるクライアントも多いので」と山野様は話す。
「納期が短く、コストも低く、データの書き込みから印刷まですべてお願いできる。満足度は120%ですね。まだ導入してくださっているクライアントは数えるほどですが、今後ご要望も増えてくると思います。『競合サービスと比べても、一番簡単に入退室できる』『導入時にわざわざ端末を購入して設置しなくてもよいため、ハードルが低い。課題解決しやすい』という点は、弊社としても是非アピールしていきたいポイントです」
まだ少々読み込んだ際の認識が甘い部分もあるが、「もっと大きい台紙を使ったり、同じ台紙を複数準備したりするなどして、改善していけると思います」と山野様は言う。
「NTAGラベル」の導入により、ユーザビリティが向上。顧客への提案力も高まった
コロナの流行が収束し、オフィス回帰の傾向が続く中、「予約ルームズ」に対する需要も高まっている。来客やWeb会議のため会議室がフル稼働するようになり、空予約及び部屋の無断使用、無断延長といった問題が顕在化しているのだ。実際、「空予約や無断延長の影響で低下した会議室の利用効率を改善したい」「移転後に複数のフロアにまたがって会議室を設置することになったが、従来の管理では煩雑になってしまうため、これを機にきちんと運用したい」 というような企業からの要望が増加しているという。
「シートやカレンダーで会議室の管理をしていても、実際は正しく運用されていないケースが少なくありません。そんなとき、課題を実感するのは総務などのバックオフィスを担当する従業員です。弊社が目指しているのは、そうしたITに造詣の深くない一般社員が利用するのを想定したシンプルなプロダクト。そのため、ユーザビリティを大切にしています。入退室のステップが簡略化されるNFCタグは、そのユーザビリティを向上させる技術であり、改善の重要なポイントなのです」
RECEPTIONISTの提供する商品は、基本的に端末にアプリを入れて設定すればすぐに使用できる月額課金制のクラウドサービスだ。エンドユーザーにとって、「どれだけ運用しやすいか」「社内のスタッフに利用してもらいやすい商品か」が導入すべきかの判断基準となる。「その点、NFCであれば、会議室の前に貼ったり置いたりするだけで利用が可能です。NFCを入退室の選択肢に入れたことが、エンドユーザーに『使いやすい』と感じてもらうための提案の一助になっていると思います」と山野様は強調する。
「NFCは本当に面白い技術で、『予約ルームズ』 のようにデータを読み込んで操作してもらうだけでなく、企業サイトのURLや動画など多種多様な情報をユーザーに届けることが可能です。アイデア次第でさまざまな用途に活用できると思います」とNFCの可能性について語る山野様。
最後に、山野様は「今ある業務を効率化したい企業の方におすすめです。また、弊社のようにプロダクトを提供している側であれば、ユーザーのUX向上にはうってつけのサービスだと思います」と述べる。
「NTAGラベル」は、業務効率化を進めるだけでなく、戦略の幅も拡大する可能性を秘めている。各企業のビジョンに寄り添い、抱える課題を解決するため、ナテックは今後も邁進していく。